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UEKING ROOM

壁画道場

植木孝二の学校壁画への取り組み

 

■選択科目「ウォールペインティング」の広義

 

壁面を活用した美術の創造活動を行うことにより、表現の能力を高め、感性を磨き、個性豊かで独創的な工夫や試みを具体化する過程を通して、創造する喜びを体感する。

 

グループでの共同制作により、主題の決定から作品が完成するまでの全過程を通して、表現の楽しさや完成の喜びを体感する。

 

主題の構想に基づいて、資料の収集やスケッチ、デッサンを繰り返し、多様な表現形式の特質について理解を深め、創造的な表現方法を工夫する。

 

 

■指導計画案

 

① グループごとに、テーマ・モチーフを話し合い、主題の構想に基づいて、資料の収集やスケッチなどによる習作を重ね、テーマにあった表現方法によりエスキース(下絵)を完成させる。

 

② エスキースを基に、壁面に木炭やチョークで下描きをし、壁面の環境を考え合わせ、主体的で独創的な表現活動を工夫させる。

 

③ グループ相互の作品(制作中)を批評し討論し合い、自他の見方や感じ方の相違などを理解し、美術についての総合的な理解を深めながら制作を進める。

 

④ グループ内の共同制作を通して、美術活動の喜びを深め、完成を豊かにし、心情や情操を育む。

 

⑤ 互いの作品について批評し討論し合い、表現を追及する感性を高め、個性豊かな美術の能力を深める。

 

    グループの各人がある程度長期間で一つの壁画を完成させることにより、達成感や表現す

ることの喜びを体感する。

 

 

 

 

 

■生徒に配布した授業プリントより抜粋

 

作品を発表するということは本当にコワイことだと思っています。

何故なら、創り手が何を考え、何に感動し、それをどのように切りとり、生のままでない作品まで高めるために発酵させ、形態化していったかということのすべてをさらけ出すわけだから。

これ以上恥ずかしいこともないように思うのです。

 

 

美術において、見ること・イメージすること・表現することの3つが大切です。

 

見ること「モノのかたちと色・光と影・空気」

見るという行為にもいろいろあって、対象をじっくり観察することと、引いて見るという見方があります。物理的に距離をおいて見ることに加えて、頭を冷やして冷静に作品を見るわけです。

そうすると、夢中になってつくっていた時には見えなかったことが、よく見えてきます。

 

イメージすること「テーマ」

絵を描くということは、ただ目の前にあるモノを再現することだけでなく、自分は何者であるのか?自分とこの世界との関係は?などと深くイメージすることです。

 

表現すること「あなたは、何を、どう、描きたいんだろう」

写真のようにそっくりに描きたいのかな、それとも自分の(モデルの)どろどろした内面かな。あるいは、人間を単なるモチーフとして、その形をかりて画面を構成したいのかな・・・

いったい何を、どう描きたいんだい?

 

まずは共同制作のためのテーマを決めて、資料の収集、そしてエスキースづくり。

単純な表現でも、そこにいくまでにどれくらいのアイディアスケッチを繰り返したかが重要。

スケッチブックを用意し、構図を考えながらデッサン。この時、完成時の全体の色のイメージもしてみましょう。

 

描いてみたいな~、描けたらいいな~という最初の思いを持ち続けられるか、自分がどんな作品を描くのかワクワク期待することができるかが成功の鍵です。

あとは楽しむこと。前向きに元気にやるのが一番。

 

友達や下級生たちが、美術っておもしろそうだな、カッコいいじゃん、やってみたいなと思ってくれるような、そして元気になるような制作をやりましょう。

 

自分が動けば、何かが起こる。大切なのは、強く思うこと。そしてやり続けることです。

 

光を描きたかったら、影や闇を描かなくては表現できない。実は、影や闇の中にこそ人間にとっての、大切なナニカがあるかもしれない。

重要なのは、自分とは違う価値観をもった他者の存在。白か黒かの二元論はヤバイ。ものさしは一つではないんだ。

 

美術にかぎらず、何かを手に入れるためには、多くの時間と汗が必要だと私は思っています。大変な制作になると思いますが、描きあげた時に感じる大きな喜びを是非味わってみてください。

マジに時間をかけて取り組んでみてください。近道はありません。

 

汗を流してがんばった者だけが味わうことができる挫折と感動。これが人間をひと回りもふた回りも大きくしてくれるのではないでしょうか?

 

 

 

壁画制作の過程について (尾山編)

 

 

3階建てのビルの外壁に足場を組み、路面側はネットを張ってあります。

この画面は、ビルの2・3階にわたる壁です。

 

まず表面の汚れを除去し乾燥させてから、下地(水性の透明シーラー)を塗ります。

外壁のモルタルやコンクリート、塗装面の塗り替えにも対応できます。

素地表面に皮膜をつくり絵の具の定着と発色を良くするものです。

乾かすのに一定の条件が必要なので天候に注意。

 

 

 

下絵に引いた方眼の比率と同じように、壁面に基準となる線を引き、

その基準線をもとに下絵を拡大して外郭線を描いていきます。

 

 

 

 

下書きができたら色を塗っていきます。

 この時は、明暗線条の技法だったので、色をつくってはベタ塗りを繰り返します。塗る順番はよく考えましょう。

はじめに大きいところから塗ると、早く終わるような気がして良いかもしれません。

乾くと耐水性になりますが、少なくとも2時間は水が掛からないように注意します。

 

 

 

 

作業中は、動きやすく汚れてもよい服装に着替えましょう。

外壁画の作業は天候によって左右され、予定通りいかないこともあるので、環境のよい時に集中するとよいです。

 

 

一般道に面していたので、歩く人が不思議そうに上を見上げていたことも少なくありません。

細かいところにも色をのせていきます。

 

 

 

ネットを外す前。

描いているときは、遠くから絵を確認できないので、全体のイメージはネットを外すまでわかりません。

 

 

 

ネットを外しました。

制作者がそれぞれサインを入れます。

最後に画面全体にコーティング剤を塗ります。表面を保護しキズ付きにくくなります。

 

 

 

この外壁画の制作期間は、開店日に合わせるため一ヶ月弱でした。

お店の顔となる絵であり、何よりも植木先生に捧げる絵として、皆がんばりました。

高校を卒業した年に植木先生が亡くなり、その3ヶ月後の夏でした。

 

 

■壁画制作の過程について  (中尾編)

 

①自分の描きたい絵をエスキース(実際に描く絵のイメージを縮小した見本)におこす。

 寸法・色の配置・文字を入れる位置・全体のバランスを考える。

 雑誌など、参考にした資料も一緒に現場に持っていく。

 

②絵を描きはじめる前準備として、画面を雑巾で丁寧に拭き汚れを落とす。

 すでに塗装がある場合は、凹凸をやすりなどでならすとよい。

 下地材(透明シーラー)を塗ると定着がよいが、予算上省く場合もある。

 

③作業エリアには古新聞紙などを敷いて、周りの壁や床を汚さないようにする。

 マスキングテープや養生シートなどを使って、上下左右の動線となるところを保護しておく。

 

④下地色を塗り、十分に乾いたら墨や柔らかい芯の鉛筆で寸法の目安となる基準線(グリッド)をひく。

 準備したエスキースに方眼を入れ、基準線に併せて拡大しながらチョークや木炭で画面へ描いていく。

 大きな画面に描く場合、近くから見て細かなチェックをするよりも、少し離れて全体のバランスを見ながら進めてい くと良い。

 

⑤色作りを行う。絵の具容器に直に筆を入れると、水や他の色が混入するので、スプーン等で必要な分を取り出し、

 パレットや皿などの別容器で混色する。足りなくなったときのために、何色をどのくらいの割合で混ぜたかをメモし ておく。

 保存する時は容器にラップをかけて、乾かないように保管する。

 

⑥着彩する。絵の具は乾いた後、若干色が変化するので、試し塗りをしながらイメージの色を模索していく。

 早く作業を進めたい時は、ドライヤーを使い乾かす。

 

⑦絵の具は、同じメーカーの同じシリーズのものを使用するのが望ましい。

 特に混色においては、違う種類のものを使うと成分が違うため、分離したり期待する色にならない場合がある。

 

⑧筆やパレットについた絵の具は乾くととれにくくなるため、その日の作業が終わり次第、きれいに洗い落とす。

 筆の中に色が残っていると、後日その筆を使うときににじみ出すので、念入りに洗う。

 

⑨全ての着色が終わったら、最後に細かな訂正を行った後、サインをいれて完成。

 サインとは、その絵が完成したことを意味すると同時に、自分が描いたものという証なので責任を持っていれる。

 

⑩仕上げにニスを塗って保護をする。色が長持ちし、簡単な汚れが落としやすくなる。

 相性の悪いニスを使うと、絵の具が溶けたり変色することがあるので、ニスの選択には留意する。

 

 

 

 

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